(ジュネーブ)-イエメンは、イエメン共和国軍が2011年に対人地雷数千個を埋設したとの疑いを調査すべきだ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日、1997年の対人地雷禁止条約年次会合の開会にあわせて述べた。首相府が2013年11月に公開した声明は、アリー・アブドッラー・サレハ大統領を退陣に追い込んだ、2011年の民衆蜂起の際に、同条約への「違反行為」があったことを認めた。
これに先立ち、ヒューマン・ライツ・ウォッチや複数の団体が発表した報告書は、共和国軍が、首都サナア近郊のバニ・ジャルムーズに対人地雷数千個を埋設した、と指摘していた。この条約が1999年に発効して以来、締約国が対人地雷使用を認めるのは、今回が初めてだ。イエメン政府は義務を履行するため、危険地帯を指定し、住民に危険性を周知した上で、除去作業と被害者への支援を行うべきだ。
「これは対人地雷禁止条約が14年前に発効して以来、最も深刻な違反行為である」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチ武器局局長のスティーブ・グースは述べた。「イエメンはただちに一帯の住民を保護した上で、地雷を除去し、責任者を確実に処罰すべきだ。」
イエメンは1997年12月4日に同条約にいち早く署名し、条約が効力を発した1999年3月1日に締約国となった。161カ国が締約国となる対人禁止条約は、対人地雷の使用を包括的に禁止し、各国政府に対して地雷除去と被害者支援を求めるものだ。
同条約の年次会合は、国連ジュネーブ事務局で2013年12月2日から開催される。イエメンの地雷使用と加盟国側の対応は、重要なトピックになる模様だ。米国は、自国の地雷政策に関する4年間のレビューの結果を公表し、条約に署名するかどうかを発表する可能性がある。2012年11月に行われた昨年の会合では、米国代表団は、この決定を「まもなく」行うと述べていた。
地雷廃絶国際キャンペーン(ICBL)が、会合に先だって発表した2013年版「ランドマインモニター・リポート」によれば、2012年には地雷問題に関して、明るい進展が数多くあった。例えば、条約に基づくモニタリングが始まって以来、新たに地雷の被害を受けた人は最も少なく、地雷除去を行った面積は最も広くなった。また、地雷問題に対する国際社会の資金拠出額も過去最大規模であった。このほか、2012年に実施された地雷除去プログラムで地雷25万個以上が除去され、1999年の条約発効以来、締約国が処分した地雷の数が4,700万個を越えるなどの進展があった。
「地雷除去は記録的なスピードで進行中だ。埋設されずに処分される地雷の数は増加しており、新たな被害者の数も年々減少している」と、前出のグース局長は述べた。「これらがはっきり示すように、対人地雷禁止条約によって、世界から地雷という殺傷兵器が削減されつつある。」
ヒューマン・ライツ・ウォッチは、地雷廃絶国際キャンペーンの創設メンバーの一員である。同キャンペーンは1997年、創設者ジョディ・ウィリアムズ氏と共に、ノーベル平和賞を受賞した。これは、対人地雷禁止条約の実現に向けた取り組みと、人道上の責務に基づく新たな国際外交への貢献が評価されたものだ。