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イエメン:反政府勢力との紛争で数百人が違法逮捕

恣意的拘禁と「失踪」について調査が必要

(ワシントンDC、2008年10月24日)-「4年間にわたるイエメン北部紛争で、イエメン治安部隊は、ジャーナリストなど数百名の人びとを組織的かつ違法に拘束した」ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表した報告書でこのように述べた。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、イエメンのアリー・アブドッラー・サーレハ大統領に対し、恣意的な逮捕および「失踪」について調査し、責任者を処罰するための独立した委員会を設立するよう求めた。  

" 何の罪もない数十名の人びとが未だにイエメンで拘束され続けている問題に対処すると大統領が約束してから何ヶ月もたつ。・・・残された家族たちは、『失踪』した愛する家族が、生きているのか死んでしまったのかすら知らされていない。 "
ジョー・ストーク、ヒューマン・ライツ・ウォッチの中東局長代理
  

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報告書「イエメン:ホーシー派反政府勢力との紛争で多発する失踪と恣意的逮捕」 は47ページ。イエメン北部では、2004年から度重なる激しい武力衝突が続いている。本報告書には、本紛争下で起きた違法な恣意的逮捕62件が詳述されている。イエメンの人権団体は、信頼性の高い数百件の違法逮捕情報を発表。2008年8月には、イエメン政府も、1,200名以上の政治犯がいるとの発言を行った。政府は、逮捕したい人物を自首させるためにその家族を人質として身柄拘束したり、また、紛争下で政府が犯した人権侵害を公表した人びとを逮捕するなどしている。  
 
2008年7月17日、サーレハ大統領は、北部サアダ州における戦闘の終結を宣言。8月及び9月には、一部の被拘禁者の釈放も指示した。しかし、数十人が、依然、起訴や裁判ないまま拘束され続けており、未だ行方のわからない人もいる。「何の罪もない数十名の人びとが未だにイエメンで拘束され続けている問題に対処すると大統領が約束してから何ヶ月もたつ。しかし、問題は全く解決されていない」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの中東局長代理、ジョー・ストークは述べた。「残された家族たちは、『失踪』した愛する家族が、生きているのか死んでしまったのかすら知らされていない。」  
 
2004年、イエメン北部サアダ州で、ホーシー派反政府勢力とイエメン政府との武力衝突がはじまった。その後、イエメン治安当局(政治治安機関、国家安全機関、通常犯罪の捜査機関)は、数百人を令状なしで逮捕。その後も、こうした人びとの犯罪を立件して起訴することができないままでいる。  
 
ホーシー派反政府勢力は、1990年代、シーア派の一派であるザーイド派の「信仰する若者(the Believing Youth)」信仰復興論運動として始まった。この運動は、フセイン・アル・ホーシーが始めたもので、一派の名も彼に由来する。2004年、イエメン政府がホーシー派が運営する宗教学校を閉鎖したのを機に、ホーシー派は武力闘争を開始した。  
 
イエメン政府は、反政府武装闘争に自ら関わっていない者も多数恣意的に逮捕している。例えば、家族を捕らえるために、事実上「人質」として捕らえられている人たちがいる。逮捕したい人物の家族を事実上人質として拘束した上で狙った人物に出頭を強要したり、人権活動家の家族を人質として拘束して人権活動をやめるよう迫るのだ。また、宗教活動を理由に治安部隊に逮捕された者もいる。ザーイド派の人びとには、最近戦闘が行われた地域に行ったり、あるいはこうした地域から戻ってきたという理由で逮捕されたり、あるいはその他何らかの理由でホーシー派のシンパと疑いをかけられて逮捕される例が多い。直近の武力衝突は2008年5月におきたが、イエメン治安当局は、当該衝突に関する情報を公表したというだけの理由でジャーナリストやウェブサイトの執筆者たちを拘禁した。  
 
ほぼ全ての事件で共通するのは、逮捕の際、当局が一切身元を明かさなかったこと。そして、逮捕された人びとやその家族には、容疑や連行場所も明らかにされなかった。「失踪者」の家族は、何週間も、何ヶ月も、自分たちの家族の生死もわからず、誰に逮捕されたのかもわからないままだった。今現在も、未だにこうした状態にある家族もいる。戦闘は7月に終結したが、その後も、治安部隊は紛争地域での恣意的な逮捕を続けた。  
 
米国国籍のカリド・アル・シャリフは、このように強制的に失踪させられた一人だ。2008年4月、家族訪問のためにイエメンに戻ったが、6月16日に治安部隊に拘束された。その後、彼の姿が確認されたのは、8月13日に政治治安本部に出頭したとき一度だけで、2008年9月末現在、彼は未だ拘束されたまま。また内務省当局は、2007年2月15日、イエメン政府にとって好ましくない報告書を書いたという理由で、政府とホーシー派勢力の間の仲裁役として公式に任命されていたシェイク・サリー・アリ・アル・ヴァイマンを身柄拘束。氏は2008年8月17日にようやく解放された。  
 
2008年9月16日、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、イエメンのアブーバクル・アル・カルビー外相に書簡を送付。拘束下の29名の氏名を明らかにして、その安否を尋ねた。しかし、同国政府からの返答はない。ヒューマン・ライツ・ウォッチが調査対象としたその余の33件のケースでは、逮捕された人びとの関係者たちが匿名を希望した。10月16日、イエメンのアブドゥルワッハーブ・アル・ハジュリ駐米大使は、これら29件のケースに関する情報を粘り強く探すとヒューマン・ライツ・ウォッチに伝えた。  
 
「サアダ州での戦闘が終結してから数ヶ月が経過したのに、起訴されることもないまま、多数のイエメン国民が拘禁され続けている」と、ストークは述べた。「サーレハ大統領は、これを機に、治安部隊が犯した違法行為を正し、このような人権侵害が二度と繰り返されないように早急に対応をとるべきだ。」  

 

 
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