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インド: 軍事特別法の廃止を

即時射殺や重大な人権侵害行為を許容する同法の50年周年にあたり

(ニューヨーク、2008年8月18日)-「インドの軍事特別法(AFSPA)は50年間にわたり、基本的自由を侵害してきた。同法は廃止すべきだ。」ヒューマン・ライツ・ウォッチは、本日発表された報告書でこのように述べた。

" インド政府には民間人を民兵による攻撃から守るという責任があるとはいえ、この責任も、人権侵害を生み出すAFSPAのような法律の存在を許す理由にはならない。AFSPAのもとで人びとは50年間も苦しんだ。50年は長すぎる―政府はAFSPAを直ちに廃止するべきである。 "
メナクシ・ガングリー、ヒューマン・ライツ・ウォッチの南アジア上級調査員
  

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不問に付される権力殺人:軍事特別法の50年
Background Briefing, August 18, 2008

ヒューマン・ライツ・ウォッチの16頁の報告書「不問に付される権力殺人:軍事特別法の50年(Getting Away With Murder: 50 years of the Armed Forces Special Powers Act)」は、軍事特別法(AFSPA)が、国家による人権侵害、弾圧、差別の道具として使われてきた状況をまとめた。この法律は、令状なしの逮捕、射殺、「動乱地域」とされた地域にある財産の破壊など、広範な権力を軍に付与するものである。この法律は、重大な犯罪の責任者が軍人だった場合は訴追を免れるという不処罰の文化を蔓延させる温床ともなってきた。  
 
「インド政府には民間人を民兵による攻撃から守るという責任があるとはいえ、この責任も、人権侵害を生み出すAFSPAのような法律の存在を許す理由にはならない」 とメナクシ・ガングリー、ヒューマン・ライツ・ウォッチ南アジア上級調査員は述べた。「AFSPAのもとで人びとは50年間も苦しんだ。50年は長すぎる――政府はAFSPAを直ちに廃止するべきである。」  
 
AFSPA は、1958年8月18日にインド北東部のナーガ・ヒル地方における武装分離独立運動に対して軍の展開するための短期的な措置として制定された。以来、AFSPAは50年にわたり適用され続け、インド北東部全体、特にアッサム、ナーガランド、トリプラ、マニプールで適用されてきた。類似の法律が1980年代~90年代のパンジャブでの分離独立運動で適用され、1990年からはジャム・カシミール州で適用されている。インド政府高官らは、長い間、武装反政府勢力との闘いのため、政府軍には特別権力が必要であるから、同法の適用は正当であると主張し続けてきた。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、超法規的処刑(裁判手続きを踏まないままの処刑)、拷問、レイプ及び「失踪」などの人権侵害がAFSPAにより助長された結果、インド国家に対する国民の怒りと幻滅が増大したと述べた。こうした怒りと幻滅が、インド北東部及びジャム・カシミール州の民兵集団に人びとを惹きつける理由となっている。  
 
AFSPAは人権侵害を生み出しただけでなく、残虐行為を行っても罪に問われないという特権を軍人に与えてきた。軍人は、AFSPAの規定によって、中央政府の許可なしには訴追されないこととされている。しかも中央政府から許可が出ることは極めて稀だ。  
 
「AFSPAのもとでの人権侵害が、民兵集団の徴兵活動を支えている」とガングリー上級調査員は述べた。「軍が残虐行為を行う上に処罰もされないため、カシミール州とインド北東部で変革を平和的に実現しようとする人びとの活動は、逆に困難になっているという訴えを我々は幾度となく聞いている。」  
 
インド国民は長い間、AFSPA に抗議してきた。最高裁判所は人権侵害を防ぐためのガイドラインを出したが、恒常的に無視されている。マニプールの活動家イロム・シャルミラは、この法律の廃止を求め、2000年からハンガー・ストライキを行っていた。政府は彼女を司法勾留し、鼻から管を入れて栄養を強制摂取させた。そして、ジャム・カシミール州の活動家たちからの法の廃止を求める訴えを無視し続けてきた。      
 
マニプールのマノラマ・デビという男性が、過激派の嫌疑をかけられ、2004年、拘禁下で殺害された後に抗議運動が拡大したのをうけて、インド政府は、AFSPAの再検討を行う5名の委員による委員会を立ち上げた。検討委員会は2005年6月6日に報告書を提出し、この法律の廃止を勧告した。2007年4月、首相の任命によるジャム・カシミール州の作業部会もまた同法の廃止を勧告した。しかしながら、内閣は軍部の反対を受けたため、これらの勧告に従っていない。  
 
AFSPAは長年にわたり、国際社会から批判を受けてきた。10年以上前の1997年、国連人権委員会は、この法律がもたらす「不処罰の風潮」について懸念を表明した。以来、超法規的・即決・恣意的処刑に関する特別報告者(2006年)、女子差別撤廃委員会(2007年)、人種差別撤廃委員会(2007年)がすべてAFSPAを廃止するよう求めた。  
 
ヒューマン・ライツ・ウォッチは、2004年にマンモハン・シン首相率るインド政府がそれまで広範に濫用されてきたテロ防止法(POTA)を廃止した例に再度ならうべきであると述べた。POTAは2001年9月11日の米国での攻撃直後に成立し、容疑者を起訴することなく180日まで勾留することを治安維持当局に認める内容の法であった。しかし実際には、この法は、ダリット(不可触賎民と呼ばれる人びと)など社会の底辺に追いやられたコミュニティー、先住民、イスラム教徒、野党勢力などの政治的反対勢力に対して度々行使されていた。  
 
「インド政府が、問題の多いテロ防止法を廃止したのは、原則をしっかり尊重した行動だった」とガングリー上級調査員は述べた。「インド政府はAFSPAを廃止するため、今こそ、同様の勇気を示すべきだ。」
 

 
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