(ワシントンDC) -- 「米国の消費者は、宝石の原産国がビルマでないことを証明しない業者からは商品を購入すべきでない。そのようにして、ビルマ産宝石の禁輸を定めた新法の施行に協力すべきだ。」ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日このように述べた。
米国政府は2008年10月27日に、ビルマ産ルビーと翡翠の輸入を厳しく禁止する法律を施行した。この「2008年のトム・ラントス・ビルマJADE(Junta痴 Anti-Democratic Efforts、ビルマ軍政反民主主義行動【注:翡翠を指すjadeと頭文字を掛けたもの】)禁輸法」は、上下両院で満場一致で可決され、2008年7月29日にジョージ・W・ブッシュ大統領の署名により成立した。
「米国の宝石小売業者の多くが、長年にわたりビルマ産ルビーや翡翠を購入し、軍事政権が残虐な政策を行う資金を部分的に支えてきた。だがこうした取引はもう違法なのだ。」ヒューマン・ライツ・ウォッチのビジネスと人権プログラムのディレクターであるアーヴィンド・ガニサンはこのように述べた。
今回の米国政府の措置により、ビルマ産宝石の取引はこれまでよりも厳格に禁止される。従前の措置では、ビルマから宝石を直輸入することが禁止されていた。だがこれには抜け穴があり、第三国(例えばインドやタイ)でカットあるいは研磨されたビルマ産宝石の購入は可能だった。今回の法律によりこの抜け道はふさがれる。第三国経由で加工・輸入されたものであっても、ビルマで採掘されたルビーと翡翠を輸入することはできない。
同法は成立から60日後の9月27日に施行された。しかし米国税関・国境警備局(CBP)は、段階的な導入計画を定め、宝石業界が新しい規則に適応するためとして30日の猶予期間を設定した。この期間は10月26日に期限切れになった。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは以下のように述べた。「宝石取引業者と小売業者は、新法を順守することはもちろん、ビルマで生産されている他の宝石(サファイヤ、尖晶石など)の購入時にも、ビルマ産宝石の非倫理的取引でないことを確認するため、慎重なスクリーニングを行なうべきである。」
「消費者たちは、小売業者に宝石の原産地を尋ねた上で、宝石用原石の採掘国について、販売伝票などの形による書面での提示を行わない業者からは宝石を購入すべきでない。」ヒューマン・ライツ・ウォッチはこのように述べた。
米国財務省は、本件の禁輸措置のほかに、ミャンマー連邦経済持株会社(軍所有の複合企業)、ミャンマー宝石公社、ミャンマー真珠公社、ミャンマー・ルビー公社、ミャンマー・インペリアル・ジェイド社など宝石事業に関与するビルマ企業に対象限定型の制裁を適用している。