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中国: 各国首脳は、人権状況改善なしに北京オリンピックに参加すべきでない

国際的に認知されたいという中国政府の願望をてこに、人権状況の長期的な改善を迫るべき

(ワシントン、2008年4月9日)ヒューマン・ライツ・ウォッチは、各国首脳に対し、本日発表した公開書簡の中で、中国政府が人権状況の実質的改善を示さない限り、2008年北京オリンピックへの招待に応じるべきでない、と述べた。中国政府は、各国首脳の参加を確保にしたいなら、国際的第三者機関に3月10日以来チベットで起きている事件についての調査を許可し、国内の報道規制を解除し、反体制派の逮捕をやめ、スーダン政府への働きかけを強化するべきである。

" 中国政府がオリンピックを政治化したくないなら、なぜ、100人という前例のない数の各国首脳を招待したのか。首脳による大会参加は、中国政府の行為に対する支持と受け取られる。そして意味ある変化もないのに支持を表明するのは誤りだ。 "
ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア・アドボカシー・ディレクター、ソフィー・リチャードソン
  

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2008年8月8日開会のオリンピック開催国に選ばれるために、中国政府は、人権状況を改善するという一般的な約束をし、さらに、メディアのアクセスを大会に先がけて緩和するという具体的な約束もした。各国の国家元首や政府代表が開閉会式に参加するか否かは、中国政府にとって死活的に重要だ。同国政府に対し、これからの数ヶ月間に事態を改善するよう強く求めるためには、依然として有効なレバレッジ(影響力ある手段)だ。  
 
「中国政府がオリンピックを政治化したくないなら、なぜ、100人という前例のない数の各国首脳を招待したのか。首脳による大会参加は、中国政府の行為に対する支持と受け取られる。そして意味ある変化もないのに支持を表明するのは誤りだ。」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア・アドボカシー・ディレクター、ソフィー・リチャードソンは述べた。  
 
昨年12月以来、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、米国など各国政府の高官に対し、首脳が開会式へ参加するか否かは、人権状況が長期的に改善されることを条件として決定するよう進言してきた。(ヒューマン・ライツ・ウォッチのライス国務長官への書簡はこちらhttp://hrw.org/english/docs/2007/12/20/china17627.htm)  
 
中国政府は、過去20年に渡り、結社、表現、宗教活動などの基本的自由を恒常的に抑圧してきた。この間、いくつかの点で改善があったことは、確かである。しかし、この3年間については、人権状況は確実に悪化している。すなわち、著名な人権活動家が逮捕され、NGOへの規制が強化され、インターネット検閲は拡大し、少数民族(特にチベットと新疆)に対する政策が強圧的になった。  
 
ヒューマン・ライツ・ウォッチは、昨年、まさに、オリンピック開催によって引き起こされた人権侵害についての調査を行い、以下のような問題について、報告を重ねてきた。報道の自由の抑圧、北京のスポーツ施設建設に従事する出稼ぎ労働者の劣悪な労働環境、オリンピックを批判する者を自宅軟禁または国家転覆罪で拘留すること、農村からやってくる嘆願者をはじめとする最貧困弱者層の北京追放などである。さらに、3月半ばから、中国政府は、チベット地域での抗議行動に対して、過度の有形力を行使して対応してきた。  
 
中国政府の人権無視の姿勢は、その外交にも現れている。中国政府は、スーダン政府への影響力を行使して、UNAMID(国連AU合同ミッション)部隊のダルフール展開を許可させた。しかし、スーダンが、部隊の完全な配備やダルフールでの民間人への攻撃を停止などの国連安全理事会決議及び国際法に基づく同国の義務を順守するよう、中国は、さらに働きかけるべきだ。  
 
「2つのことが明らかだ。1つは、中国政府が国際的に認知されたいという願望を持っていること、もう1つは、人権については、中国はメダリストでないということだ。世界の首脳は、こうした明らかな事実をこれ以上無視できない。今こそ、中国政府の国際に認知されたいという願望をてこに、人権状況改善を迫るべきだ。」とリチャードソンは述べた。  
 
ヒューマン・ライツ・ウォッチはオリンピック大会ボイコットを主張するものでない。しかし、オリンピックが、中国の人権状況に世界の注目を集め、また、中国政府が目に見える改善を示す格好の機会だと考える。今回の書簡で、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、各国首脳に対し、開閉会式に参加するには、以下の4点を条件にするよう要請している。
  • 3月10日以来チベットで起きている事件について、国際的第三者機関(国連人権高等弁務官事務所による調査が望ましい)による調査を許可すること。調査では、被拘留者へのアクセス、過度の有形力の使用、超法規的処刑、被拘禁者への拷問、恣意的な逮捕、中国国内法でも許されている抗議行動と暴動の同一視、表現・集会・結社・宗教の自由侵害、などの問題を対象にすべきである。調査結果はオリンピック開会前に公表されるべきである。  
  • オリンピックに先立ち報道の自由を実現するという公約に沿い、諸外国メディアにチベット地域での取材を許可すること。そして、当該報道の自由を、オリンピックの後も永続させ、中国国内ジャーナリストにも拡大すること。先頃、外国メディアを対象に、政府統制下のツアーが実施されたが、これを真の報道の自由の証しとすることはできない。実際、このツアーに参加した記者たちは、移動が厳重に監視され、報道が政府関係者によって制限されていたと、コメントしている。  
  • 自宅軟禁などの超法規的手段や国家転覆罪(5年以下の懲役)での実際に起訴するなどの方法で、政府を批判する者や抗議をする者の口をふさぐこれまでのやり方を改めること。活動家・胡佳氏と楊春林氏は、公に人権を擁護し政府を批判したという理由で、国家転覆罪の判決を受け、それぞれ懲役3年半と5年を宣告された。  
  • スーダン政府に対し、政府軍とその協力民兵によるダルフール西部の一般市民に対する攻撃を即刻停止するよう、公に要求すること。UNAMIDが、迅速かつ妨害なくすべてのレベルで配備されるよう積極的に働きかけること。スーダン政府が中国の要求に沿わない場合には、国連安全保障理事会でのスーダン高官に対する制裁決議を支持すること。
「中国政府要人と手に手を携えて、国際社会へのデビューの場に参列する――今それが適切な時期か、各国首脳は決断を迫られている。参加は適切と判断した理由を説明する責任は、参加を予定する首脳側にある。」とリチャードソンは述べている。
 

 
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