子どもたちを兵士として徴集し、コンゴ北東部イツリでの戦闘で実際に戦わせた罪で訴追されていた反政府勢力のリーダー、トマ・ルバンガ被告の国際刑事裁判所(ICC)での裁判は停止されていましたが、11月、ICCは停止を解除すると決定しました。
ヒューマン・ライツ・ウォッチはコンゴのイツリ地方で事実調査を行い、2003年にその結果を報告書として発表。イツリで起きたこの残虐な人権侵害に世界で初めて光をあて、ICC検察官の注意を喚起しました。ルバンガ被告は、コンゴ愛国者同盟 (UPC) の元リーダー。ヒューマン・ライツ・ウォッチと国連の調査は、UPCが、イツリ地方で戦争犯罪及び人道に対する罪を犯した武装勢力であることを明らかにしています。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは、トマ・ルバンガの公判審理を開始する必要性を国際メディアの場で明らかにするとともに、一連の「Q&A」文書を発表して、裁判手続き停止にまつわる複雑な法律問題ゆえ混乱していたマスコミやコンゴの地域社会からの様々な疑問に答える一方、公正な裁判を受けるルバンガ被告の権利の重要性についても強調しました。また、ICCに対しても、コンゴへのアウトリーチを改善するよう提言し、イツリ地方のルバンガ支持者が裁判手続停止をルバンガの無罪の証拠として利用している問題など、裁判停止の結果誤った認識がはびこっている問題などについてもアウトリーチに取り組むよう働きかけました。ルバンガ被告の公判は2009年1月に開始予定です。