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メキシコ:レイプ被害者に対する中絶妨害を止めよ

グアナファト州政府が合法な中絶を阻止し、中絶を求める者を起訴

(ニューヨーク)-メキシコのグアナファト州当局者は、妊娠したレイプ被害者の中絶を法が保証しているにもかかわらず妨害したり、中絶施術を求める女性たちを起訴するのを止めるべきであると、ヒューマン・ライツ・ウォッチとセントロ・ラス・リブレス(Centro Las Libres)は、本日州政府に宛てた書簡で述べた。

メキシコ最高裁判所は、2009年3月2日にインターネット上に全文が公開された判決において、中絶を認めるメキシコシティー保健法は女性の権利を擁護しており合憲であるとしたと2団体は指摘した。グアナファト州は、この判断に従い中絶法を緩和すべきだと2団体は述べた。この書簡は、州知事、立法、司法、保健の各当局者及び人権オンブズマンに送付された。

「グアナファト州政府は、法的にはレイプの被害者の主張が認められるべきであるにもかかわらず、レイプ被害者の窮状に冷淡であり、無関心であり続けてきた」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの女性の権利局アメリカ調査員、アンジェラ・ハイムバーガーは述べた。「さらには、個々人の深刻な問題を解決するために合法で安全な医療サービスを受けようとしたことをもって、多くの女性たちを犯罪者扱いしている。」

グアナファト州は、レイプの場合のみ中絶を合法としている。しかし過去8年に渡って、妊娠したレイプ被害者からの中絶施術の求めを同州は全て拒否してきた。また違法な中絶を求め、あるいは、違法な中絶の施術したという理由で、同期間中に約130名の人々が有罪判決を受けている。本来ならば、病院従事者は、中絶後の合併症を抱える女性に対し、安全かつ個人情報を保護しながらの医療サービスを提供しようと専心するものである。しかし、そうであるべき病院従事者が、実際には、中絶施術を受けた疑いのある女性を警察に通報する場合が多い。

グアナファト州の州議会議員は、この数年間、法律をさらに厳しいものとするか否かについて議論をしている。中絶の犯罪化は中絶件数を減らすことには何の効果もなく、むしろ中絶施術の安全性を損なうという圧倒的な証拠があるにもかかわらず。

グアナファト州のこの権利を制限する法律は、メキシコの他の州における法の発展と矛盾している。グアナファト州の州都からバスで6時間のメキシコシティーの法律では、妊娠の理由如何にかかわらず、女性と少女には妊娠初期であれば安全で無料の中絶を受ける法的権利が認められている。保健当局は、約1000人の女性・少女が毎月中絶施術を受けていると指摘している。

「グアナファト州の保健事務局は、医療従事者が、女性の人権を確実に尊重し、患者を警察に届け出るといった女性の福利を脅かす人権侵害行為を確実に防ぐようにしなければならない」と、グアナファト州のセントロ・ラス・リブレスの共同創立者、ベロニカ・クルスは述べた。「州議会議員は、レイプ被害者に無料で安全な合法的中絶を保証するために、刑事訴訟法を改正するべきである。」

メキシコシティー中絶法に関する3月2日の判決で、最高裁判所は「妊娠中絶の犯罪化は、女性の体や、身体及び精神の健康、そして生命について決定する女性の自由に反しており、同法は女性の権利保護のために理想的だ」と述べた。

メキシコ連邦政府は、最高裁判所の判決理由とメキシコ政府が負う女性の権利に関する国際人権義務を認め、同国の中絶法が国際的な人権基準に添ったものとなるよう制限を緩和すべきであると、その2団体は書簡で述べた。

「グアナファト州は、中絶に対する処罰を全て廃止し、メキシコシティーの先例に従って女性向けの公共保健医療に関する情報とサービスを増加させるのが賢明だろう」と、ハイムバーガーは述べた。「中絶の犯罪化は女性の尊厳、プライバシー、そして健康を傷つけるものであり、自らの権利を行使したことによっては差別されないという女性の権利の明確な侵害である。」

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