ヒューマン・ライツ・ウォッチの「アリソン・デ・フォージュ人権活動家賞」は、人びとの尊厳と人権の擁護に命を捧げる勇敢な個人を称えるために設立されました。ヒューマン・ライツ・ウォッチはこれら勇気ある活動家と協力し、暴力や差別、弾圧と無縁な世界の実現を目指しています。
ハッサン・アルアミン氏は、リビアでの人権侵害を明らかにして、民主主義を促進する活動をしています。これまで30年にわたって、公正な司法、真相の究明、そして法の支配を求めて闘う強力な政策提言者であり続けています。
アルアミン氏は、1983年にムアンマル・カダフィ大佐の治安部隊に逮捕され、暴行を受けたことから英国に亡命しました。ロンドンで教鞭を執るかたわら、カダフィ大佐に対する抗議運動を組織し、政権の犠牲者を追悼する徹夜の座り込みデモを主宰。また、自宅で独立系ウェブサイト「リビア・アルモスタクバル(未来のリビア)」を立ち上げました。その後の28年間は、国外在住のリビア人反体制派としてもっとも活動的な人物のひとりとなり、ヒューマン・ライツ・ウォッチの重要な協力者でもありました。
2011年のカダフィ政権に対する民衆蜂起を機に、当時政府軍の包囲攻撃を受けていたミスラタに小舟で帰郷。地元の諸団体と協力し、内戦中の人権侵害を調査して取りまとめ、公表しました。
カダフィ政権崩壊後、リビア初の民主的な暫定議会選挙に出馬。当選を果たした後は人権委員会およびメディアと市民社会委員会の委員長を兼務しました。拷問などの囚人に対する虐待に関する調査を実施し、反カダフィ派の武装民兵組織による人権侵害を果敢にも非難しました。
2013年3月に民兵組織から暗殺の脅迫を受けたため、議員を辞職してロンドンに戻り、「リビア・アルモスタクバル」を再開しました。
リビアにおける人権侵害の告発と人権擁護に献身するアルアミン氏の活動に対し、ヒューマン・ライツ・ウォッチは敬意を表します。