サウジアラビアは今月、とても重要な一歩を踏み出しました。12月に実施される自治評議会選挙(地方議会選)で、初めて女性に有権者登録と選挙への立候補を認めたのです。
サルマン国王は故アブドッラー前国王よりも、国の強硬なイスラム教保守派と近しい間柄にあるという噂のため、前国王による女性の権利保護にむけた緩やかな改革が、更に遅れるのではないかと憂慮されていました。今回の動きにより、この懸念は一部緩和されました。
そしてこの一歩は、サウジ社会全体に対し、男性と同様に女性も国を動かす役割を担っており、公共の利益をめぐる決定にかかわるに値する、との重要なメッセージを送ることでしょう。
しかし女性が投票・立候補できるようになったのは、完全な男女平等への最初の一歩にすぎません。そもそも、今回の決定でさえ問題は山積みです。まず多くのサウジ女性が、投票に必要な身分証明書を所有していません。原則として同国の女性は、誰の許可もなしに身分証明書を取得することができますが、女性に対する移動の制限や男性親族の反対が原因で、一部の女性にとってそれが難しくなっているのです。
加えて今月、社会における女性のより重要な役割を求めるサウジ女性たちのプロジェクト、「バラディ・イニシアチブ」主催の選挙研修ワークショップが、社会問題省により一時停止されてしまいました。同省はその理由にライセンス問題を挙げています。
8月18日にサウジガゼット紙は、有権者登録の手続きを最初に開始したメッカとメディナでは、女性の出足が鈍かったと報道。初日にメディナで有権者登録した女性の数はわずか5人だったというのです。
同国の女性たちは、徐々に自らが持ってしかるべき権利へのアクセスを拡大しています。特に職を得たり、高等教育を受ける女性の数は目にみえて多くなりました。しかしそういった進歩の兆しの一方で、選挙への立候補や投票ができるようになること(いずれにせよ地方議会選のみ)だけでは、女性が完全にサウジ社会の一員となるために十分とは言えません。
今後、女性の権利保護を大きく前進させるため、サウジ当局は男性の後見人制度を廃止しなければなりません。この制度の方針と習慣のもとでは、通常後見人となる夫、父、兄弟、または息子の承認なしに、旅券の取得や結婚、旅行、高等教育機関への就学をすることができません。関係当局はまた、サウジ女性の生涯に関わる大切な決断すべてを、彼女たち自身が下せるよう保障すべきでしょう。それが実現して初めて、同国の女性たちは男性と同様の立場で社会に貢献することができるようになるのです。