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ベトナム:反体制的な見解を理由に拘束されたジャーナリストの解放を

ブロガーのグエン・ヴー・ビン氏、人権と民主主義を訴えて起訴される

グエン・ヴー・ビン氏 © Private

アップデート:2024年9月10日にハノイの裁判所はグエン・ヴー・ビン氏に懲役7年の刑を言い渡した。

(バンコク)– ベトナム当局は著名なブロガーのグエン・ヴー・ビン氏に対するすべての起訴を直ちに取り下げ、同氏を釈放すべきであると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。

ハノイ警察は2024年2月29日、ベトナム共産党を批判する意見を表明したとして、グエン・ヴー・ビン氏(55)を逮捕した。容疑は刑法117条(反国家プロパガンダ罪)違反だ。ハノイの裁判所は9月10日に公判を開く。有罪になると最長12年の刑が下される可能性がある。

「グエン・ヴー・ビン氏は20年以上にわたり、ベトナムの人権と民主主義のために精力的に活動してきた」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのパトリシア・ゴスマンアジア局長代理は述べた。「反体制的な意見の平和的な表明は犯罪ではない。起訴は撤回されるべきだ」。

グエン・ヴー・ビン氏の裁判はベトナム共産党書記長にトー・ラム氏が就任して以降8回目だ。トー・ラム書記長は2016年4月から2024年5月まで悪名高いベトナム公安省の大臣を務めた。その間、ベトナム警察は、基本的な市民的・政治的権利を平和的に行使したとして、少なくとも269人を逮捕した。また当局は8月から9月にかけて、政府批判を理由にNguyen Chi Tuyen、Tran Minh Loi、Le Phu Tuan、Phan Dinh Sang、Tran Van Khanh、Phan Ngoc Dung、Bui Van Khangら少なくとも人権活動家7人を起訴し、実刑判決を下した。

グエン・ヴー・ビン氏は、ベトナム共産党機関誌『タップチコンサン(共産雑誌)』で10年近く記者を務めた後、2000年12月に辞職して独立政党の結成を試みた。また、2001年には汚職追放を訴える組織の結成を試みた反体制派の一人でもある。

警察は2002年9月に氏を逮捕した。理由は2002年7月に氏が米国議会に書面で行ったベトナムでの人権侵害に関する証言のなかで、国家を中傷したというものだった。2002年8月のオンライン記事で、物議を醸していた中国との国境条約を批判したことでも政府の標的となった。

米国議会での証言で、グエン・ヴー・ビン氏はこう陳述した。「国内各地の人権侵害を止めさせ、防ぐことができれば、この国の民主化を果たしたことにもなるのだと私は信じてやみません。したがって、人権のためにどのような手段で戦おうとも、ベトナム国民がずっと待ち望んできた究極の目標、すなわち個人の自由と民主的な社会の実現が目指されるべきなのです」。

2003年12月、グエン・ヴー・ビン氏は刑法80条のスパイ罪で有罪となり、7年の刑と3年の自宅軟禁を言い渡された。 2007年6月に当局は刑期満了より2年3ヵ月早く氏を釈放した。氏はすぐに人権活動を再開し、ベトナムの社会問題や政治問題に関する多くの論説を発表した。

2015年から2024年にかけて、グエン・ブー・ビン氏はラジオ・フリー・アジアのブログに300本以上の記事を投稿した。テーマは汚職、土地所有権、警察による暴力、不公正な裁判、平和的抗議の権利、経済、教育、環境、ベトナムと中国や中国と米国の関係である。また、Le Anh Hung、Nguyen Thuy Hanh民主同胞団(Brotherhood for Democracy)のメンバーなど、投獄中の活動家仲間を支援する記事も書いている。しかし、とりわけグエン・ヴー・ビン氏は、ベトナムでの真の民主主義と法の支配を訴える記事を執筆してきたのである。

逮捕の1週間前に発表された最新記事「困難で憂鬱な時代における民主化運動の前向きな側面」で、氏はベトナムで人権と民主主義を訴える人たちに対して、政府による弾圧が続くなか、互いに支え合うとともに仲間の活動家の家族を支援すべきだと述べた。

グエン・ヴー・ビン氏は、2002年2007年に、政治的迫害の被害者に贈られる権威あるヘルマン・ハメット賞を2度受賞している。

「ベトナム政府は、すべてのメディアを独占し、政府が聞きたいことだけを報道させる状況を作っていながら、グエン・ヴー・ビン氏のような後ろ盾のない独立した一個人の批判的な意見を受け入れることができないでいる。これはまったくおかしな話だ」と、前出のゴスマン局長代理は述べた。「ベトナムの指導者たちはいつになったら反体制的な意見に寛容になるのだろうか?ベトナムと緊密な関係にある各国はいつになったらベトナム国内での弾圧を批判するのだろうか? 」

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